トップページ > コラム > ANYCOLOR(にじさんじ)の高騰はIPO復調の兆し!?6月IPOをチェック!
2022年は年明けからIPO市場にとって厳しい状況が続いていました。年明けから2連敗という最悪のスタートからはじまり、ウクライナ情勢による金融不安のあおりを受けて上場中止が複数発表されました。しかしその後はコンパクトなIPOが中心となったこともあり、徐々に持ち直していき、4月は8勝1敗とかなり良い状況まで戻ってきました。
そして1か月ほど期間が空いたあと、5月のトリプルアイズ(5026)は予想を大きく上回る初値を付け、さらに6月8日に上場したANYCOLOR(5032)も大幅な高騰を見せました。
ANYCOLORは圧倒的な買いを集め、初日に値が付かず、上場二日目に公募価格の3倍以上で初値が決定しています。
公募価格1,530円に対して、初値が4,810円なので、IPOの抽選に申し込んで1単元(100株)に当選&購入していた場合、初値で売れば30万円以上儲かった計算です。
<ANYCOLOR公式サイトより>
その後、株価はストップ高となる5,510円まで上昇しました。さらに翌日(6月10日)もストップ高となる6,510円を付けています。初値が付いたあとも株価が上がり続けるのは強いですね!
2022年もすでに半年が過ぎようとしていますが、ようやくIPO市場が復調してきた手ごたえがあります。
今年の6月は12社が上場予定で、後半に上場日が集中しています。この勢いのままであれば、6月後半の結果も期待できそうです。そこで今回は、直近IPOの結果と6月後半の注目IPOをまとめました!ぜひ最後までご覧ください。
最初に、ANYCOLORにこれだけ買いが集まった理由を簡単に分析します。主に3つの理由が考えられます。
ANYCOLORは『月ノ美兎(つきのみと)』、『社築(やしろきずく)』、『壱百満天原サロメ(ひゃくまんてんばらさろめ)』など約150名のVTuberが所属するVTuberグループ「にじさんじ」を運営しています。VTuber(ブイチューバ―)とは、バーチャルユーチューバーの略で、CGによる3Dイメージのアバター(外見)を使って配信しているYouTuberのことです。現在はANYCOLORが運営する「にじさんじ」とカバー株式会社(未上場)が運営する「ホロライブプロダクション」がツートップとなっています。
<ANYCOLOR公式サイトより>
上場前日に新人VTuberの『壱百満天原サロメ』がVTuber最速の14日でチャンネル登録者数100万人を達成したため、SNS等で大きく盛り上がり、Twitterでもトレンド上位に入っていました。所属するVTuberの人気度がそのまま売上に直結するため、これは初値高騰を後押しする良いニュースになったようです。
YouTuberといえば、2017年上場のUUUM[ウーム](3990)もYouTuber事務所です。こちらは実写の配信者がメインですが、YouTubeという市場で成長してきた企業という点では共通点があります。
UUUMは公募価格2,050円に対し、初値は6,700円と3倍以上の値段が付きました。ANYCOLORも同じくらい上昇するのでは…という思惑が働いたのは間違いないでしょう。
毎年5月はIPO閑散期です。そのため、投資家の買い余力が復活しており、また同日上場も無いため買いの分散が起こりません。
【コラム】期間が空いたIPOの結果をまとめました!
過去の事例を見ても、1か月以上期間が空いたIPOは、初値が上昇しやすい傾向にあります。今回は直前にトリプルアイズが上場していますが、規模が小さい事から、ANYCOLORも引き続きこの恩恵を受けられた、と考えられます。
ANYCOLORの既存株主には上位10名にベンチャーキャピタル(VC)が多く存在します。VCは未上場の新興企業に出資する代わりに株式を発行してもらっているので、利益を出すためには上場後に売却しないといけません。
しかし、IPOでは上場後に一定期間は売却をしない取り決めをする場合があります。これをロックアップ期間と言います。
今回は主要大株主にはすべて180日間のロックアップがかかっています。解除条件が特に無いので、ロックアップが守られている限り、大きな売りが浴びせられる心配はありません。そのため買いが優勢になりやすいのです。
直近のIPO結果を一覧にしてみました。小規模IPOながらも、初値が公募価格の2倍以上となるIPOが複数出ています。
企業名 | 総合 評価 |
上場 市場 |
上場日 | 当たり本数 | 想定価格 | 公募価格 | 初値 | 初値 上昇率 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
ANYCOLOR (5032) |
東証 グロース |
6/8 | 13,386本 | 1,490円 | 1,530円 | 4,810円 | +3,280円 (+214.4%) |
|
トリプルアイズ (5026) |
東証 グロース |
5/31 | 6,210本 | 880円 (低価格) |
880円 | 2,200円 | +1,320円 (+150.0%) |
|
クリアル (2998) |
東証 グロース |
4/28 | 8,933本 | 900円 (低価格) |
930円 | 1,600円 | +670円 (+72.0%) |
|
ペットゴー (7140) |
東証 グロース |
4/28 | 7,245本 | 500円 (低価格) |
550円 | 1,295円 | +745円 (+135.5%) |
6月後半に上場するIPOから注目銘柄をピックアップしました。まだ抽選申込が間に合う銘柄もあるので、申込はお早めに!
企業名 | 総合 評価 |
市場 | 申込 期間 |
上場日 | 当たり本数 | 想定価格 | 仮条件 | 狙い目証券 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
AViC (9554) |
東証 グロース |
6/14 ~6/20 |
6/30 | 12,965本 | 970円 (低価格) |
920円 ~1,020円 |
SBI(副) マネックス 楽天 岩井 松井 岡三オンライン |
|
マイクロアド (9553) |
東証 グロース |
6/13 ~6/17 |
6/29 | 26,611本 (多い) |
1,380円 | 1,300円 ~1,410円 |
SBI(主) 大和(副) 楽天 マネックス 松井 岩井 CONNECT |
|
ヌーラボ (5033) |
東証 グロース |
6/13 ~6/17 |
6/28 | 22,301本 (多い) |
2,130円 | 960円 ~1,000円 |
SMBC日興(主) マネックス(副) SBI |
|
M&A総合研究所 (9552) |
東証 グロース |
6/13 ~6/17 |
6/28 | 18,764本 | 1,210円 | 1,210円 ~1,330円 |
野村(主) SBI(副) 大和 SMBC日興 楽天 松井 マネックス 岩井 CONNECT カブコム LINE |
|
サンウェルズ (9229) |
東証 グロース |
6/10 ~6/16 |
6/27 | 33,752本 (多い) |
1,940円 | 1,770円 ~1,940円 |
野村(主) SMBC日興(副) SBI 楽天 LINE |
|
イーディーピー (7794) |
東証 グロース |
6/10 ~6/16 |
6/27 | 4,933本 | 4,500円 | 4,500円 ~5,000円 |
SMBC日興(主) SBI(副) 野村 楽天 マネックス 大和 岡三オンライン CONNECT |
|
マイクロ波化学 (9227) |
東証 グロース |
6/9 ~6/15 |
6/24 | 34,866本 (多い) |
580円 (低価格) |
580円 ~605円 |
SMBC日興(主) SBI(副) 楽天 カブコム |
|
坪田ラボ (4890) |
東証 グロース |
6/8 ~6/14 |
6/23 | 44,160本 (多い) |
450円 (低価格) |
450円 ~470円 |
SMBC日興(主) SBI(副) 楽天 マネックス 岡三オンライン |
|
ホームポジション (2999) |
東証 スタンダード |
6/7 ~6/13 |
6/23 | 23,000本 (多い) |
500円 (低価格) |
450円 ~500円 |
マネックス 岩井 SBI 楽天 松井 |
|
ジャパン ワランティサポート (7386) |
東証 グロース |
6/7 ~6/13 |
6/23 | 7,360本 | 1,640円 | 1,500円 ~1,640円 |
大和(副) 野村 SBI 楽天 マネックス CONNECT DMM株 |
|
ヤマイチ・ ユニハイムエステート (2984) |
東証 スタンダード |
6/2 ~6/8 |
6/20 | 21,850本 (多い) |
950円 (低価格) |
900円 ~950円 |
野村(主) 大和(副) SMBC日興 SBI CONNECT カブコム LINE |
|
企業名 | 総合 評価 |
市場 | 申込 期間 |
上場日 | 当たり本数 | 想定価格 | 仮条件 | 狙い目証券 |
まず、ジャパンワランティサポートとイーディーピーは公開株数が少なめのIPOです。プラチナチケットというほど少ない訳ではありませんが、買い需要があれば一気に高騰する可能性があります。ただし、イーディーピーは想定価格が高めの値がさ株なので、若干買いが入りづらいかもしれません。
続いて坪田ラボ、AViCなど公開価格が低いIPOも狙い目です。想定価格が低い場合、買いが入りやすいのである程度までは上昇が見込めます。もちろん他の条件の方が影響度は大きいですが、一つの目安として見ておきましょう。
正直な話、ANYCOLOR以外はあまり目立つIPOが見当たらないのですが…、最後にひとつ要チェック銘柄をあげるとしたらM&A総合研究所でしょう。2018年設立とまだ若く勢いがある会社です。業績は急激に伸びており、大株主のロックアップは解除条件がありません。今後の成長に期待した買いが入れば、予想以上に高騰する可能性は十分にあります。
6月後半のIPOは、大きく高騰しそうな銘柄はありませんが、大崩れしそうな銘柄も無い状態です。割と過密スケジュールなのが気がかりですが、リスクが少ない銘柄で確実に利益を出していきたいですね。
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