TOKYO PRO Market(東京プロマーケット)とは?

最終更新日:
2024年3月21日

 IPOの上場市場で、このサイトでは普段紹介していない市場があるのはご存じでしょうか?それが、プロ向け市場のTOKYO PRO Market(以下、東京プロマーケット)です。一般の投資家は参加できないうえに、上場時に公募や売出をほぼおこなわないので、サイトでの紹介は見送っています。

 しかし、最近ブリッジコンサルティンググループなど東京プロマーケット経由で東証や名証への上場を目指す企業が増えてきました。そこで、東京プロマーケットの基本的な知識を解説していきます。

東京プロマーケットとは?

 東京プロマーケットとは、東京証券取引所が運営する、日本で唯一のプロ投資家向けの株式市場です。プロ向けなので、機関投資家や金融資産を運用する株式会社、3億円以上の金融資産を持つ個人投資家が対象となっています。東証プライムなどと違い、一般の投資家は参加できません。

 そのため、IPO投資とは直接関係がないように思えますが、東京プロマーケットの企業が他市場へ上場した例があります。その際は、通常のIPO銘柄と同じ手順で上場するため、個人投資家にも投資のチャンスが回ってくるのです。

 つまり、東京プロマーケットに上場している企業は、将来的に東証マザーズなどに上場する可能性がある企業ということです。こちらで紹介している上場観測記事と同じように、東京プロマーケットの銘柄を事前に調べておけば、将来のIPOに備えることができます。

東京プロマーケットと他の市場との違い

 東京プロマーケットと他の市場(東証プライム、東証スタンダード、東証グロース、名証など)との違いをまとめると、下のようになります。

東京
プロマーケット
他の市場
上場までに
かかる年数
2年程度 3年程度
監査に必要な事業年度 1期 2期
形式基準
(株主数や時価総額など)
なし あり
上場準備の
コスト
少ない 多い
上場維持の
コスト
少ない 多い
市場参加者 制限あり 制限なし
流動性 低い 高い
資金調達 しにくい しやすい

 かんたんにまとめると、「上場しやすい」けど「資金調達しにくい」のが東京プロマーケットです。この特徴がそのままメリットデメリットになります。

メリット

 上場の基準が東証グロースなどと比べて緩いため、会社の信用力を上げたい場合に便利です。信用力を上げることで、従業員の採用がしやすくなったり、銀行からの融資を受けやすくなったりします。

デメリット

 上場時の公募や売り出しによる資金調達がほとんどできない点がデメリットです。上場時に公募・売出が必要ないのもありますが、取引に参加できるのが機関投資家と一部の株式会社や個人投資家に限られるため、買い手を集めるのがむずかしいのです。

東京プロマーケットから他の市場へ上場した企業

 実際に東京プロマーケットから他市場へ上場した例を見てみましょう。

表は左右にスライドしてご確認ください
上場日 企業名 上場
市場
公募
価格
初値
(上昇率)
2024/3/21 STG
(4197)
東証
グロース
1,920円 3,215円
(+67.4%)
2023/12/4 アスマーク
(4197)
東証
スタンダード
2,300円 2,150円
(-6.5%)
2023/9/25 ジェイ・イー・ティ
(6228)
東証
スタンダード
4,630円 4,420円
(-4.5%)
2023/6/26 QLSホールディングス
(7075)
名証
ネクスト
650円 800円
(+23.1%)
2023/6/26 ブリッジ
コンサルティング
グループ

(9225)
東証
グロース
1,300円 4,110円
(+216.2%)
2022/12/26 アップコン
(5075)
名証
ネクスト
1,280円 1,000円
(-21.9%)
2021/11/1 フロンティア
(4250)
福証
Qボード
930円 958円
(+3.0%)
2021/9/13 Geolocation
Technology

(4018)
福証
Qボード
2,240円 3,550円
(+58.5%)
2020/
3/30
ニッソウ
(1444)
名証
セントレックス
3,750円 2,800円
(-25.3%)
2019/
12/23
global bridge
HOLDINGS

(6557)
東証
マザーズ
2,690円 4,020円
(+49.4%)
2017/
12/18
歯愛メディカル
(3540)
JASDAQ
スタンダード
3,300円 4,030円
(+22.1%)

 先ほどメリットとしても説明しましたが、東京プロマーケットへ上場すると、いわゆる「監査機関のお墨付き」がもらえます。融資を受けやすくなったり、優秀な人材を集めやすくなったりします。
 まず東京プロマーケットへ上場して会社を成長させ、次のステップとして他の市場に上場する、という方法は今後増えそうです。

東京プロマーケットの上場銘柄

 東京プロマーケットには、2023年11月10日時点で82銘柄が上場しています。その中から、上場日の新しい順に10社抜粋しました。全上場銘柄を見たい場合は、JPXのTOKYO PRO Market銘柄一覧をご覧ください。

上場日 企業名
2023/11/10 京橋アートレジデンス
(5536)
2023/10/31 レボインターナショナル
(5022)
2023/10/20 アイビスホールディングス
(9334)
2023/09/21 エンゼルグループ
(5534)
2023/09/13 大伸社
(9169)
2023/08/10 フトン巻きのジロー
(9167)
2023/08/04 日本総険
(5840)
2023/07/14 光響
(5887)
2023/07/12 Strawberry jams
(5584)
2023/06/30 カイテクノロジー
(5581)

まとめ

 東京プロマーケットは、参加制限があり、多くの個人投資家にはあまり関係のない市場です。しかし、新興市場や地方市場上場への登竜門として機能しはじめれば、話は変わります。将来的なIPO銘柄の発掘先としてチェックしてみると、思わぬ発見がありそうです。

 最初にこのコラムを作成した2019年と比べると、TOKYO Pro Marketの上場企業数も、他市場への鞍替え数もかなり増えています。今後もTOKYO Pro Market経由の上場は増加すると見てよいでしょう。

 東京プロマーケットそのものを取り扱う予定はありませんが、上場観測記事として、上場しそうな東京プロマーケットの企業を紹介していきます。

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