トップページ > コラム > コロナショック後のIPOの傾向を予想しました!
6月24日に、約2か月半ぶりに3社が上場し、コロナショック後のIPOがようやく再開されました。久しぶりのIPOということもあり、コパ・コーポレーション(7689)、ロコガイド(4497)、フィーチャ(4052)の3社は、公募価格の2倍以上に初値が高騰しています。素晴らしい再スタートになりました。
コロナショック時の嫌なムードは一掃された感がありますが、すでに上場した3社を含め、今後の上場予定企業を見てみると、今後のIPOはコロナショック前とは大きく変わりそうです。
この3つの変化を予想しています。どこが変わるのか、なぜ変わるのかを、くわしく解説します!
では、まず再開後に上場予定の企業を見てみましょう。
上場日 | 企業名 | 業種 | 事業内容 |
---|---|---|---|
2020/6/24 | コパ・ コーポレーション (7689) |
卸売・EC | 実演販売を利用した商品卸売など 店頭のほか通信販売でも展開 |
2020/6/24 | ロコガイド (4497) |
Webサービス | 電子チラシ配信サービス『トクバイ』の運営 |
2020/6/24 | フィーチャ (4052) |
ソフトウェア開発 | 画像認識ソフトウェアの開発 |
2020/6/26 | コマースOne ホールディングス (4496) |
EC | ECプラットフォーム関連事業 |
上場日 | 企業名 | 業種 | 事業内容 |
2020/6/29 | エブレン (6599) |
機械製造 | 産業用電子機器・工業用コンピュータの設計・製造・販売 |
2020/6/30 | グッドパッチ (7351) |
Webデザイン | UI/UXデザイン支援事業 |
2020/7/7 | Branding Engineer (7352) |
人材・教育 | 企業に対してエンジニアリソースの提供をおこなうMidworks事業、 メディア事業およびプログラミングスクール運営など |
2020/7/10 | Speee (4499) |
Webマーケティング | データ資産を利活用したマーケティング活動を支援するMarTech事業 および消費者と事業者をつなぐプラットフォームサービスを提供し リアル産業のデジタルシフトを促進するX-Tech事業の運営など |
上場日 | 企業名 | 業種 | 事業内容 |
2020/7/15 | アイキューブド システムズ (4495) |
Webサービス | 法人向けモバイルデバイス管理サービスの提供 |
2020/7/15 | GMO フィナンシャルゲート (4051) |
決済処理 | クレジットカード、デビットカード、電子マネー、ポイントなどによる 対面型決済をおこなう決済端末の提供および決済処理サービス |
2020/7/15 | KIYOラーニング (7353) |
オンライン教育 | 個人向けオンライン資格講座 および法人向け社員教育クラウドサービスの提供 |
上場日 | 企業名 | 業種 | 事業内容 |
現時点で11社が上場予定です。この11社の業種には、ECやWeb、オンラインという文字が目立ちます。そして、事業内容をよく見ていくと、ほとんどの企業に「IT・ネット関連」という共通点があります。一つ目の変化「業種の偏り」です。
IT・ネット関連は、新型コロナウイルスの影響を受けにくいため、今後も業績が伸びると期待されています。たとえば、画像認識ソフトウェアのフィーチャ(4052)は、自動運転車向けに画像認識ソフトを作っています。自動運転の研究は新型コロナウイルスとはあまり関係がなく、今後成長が見込まれている事業です。ほかにも、法人向けモバイルデバイス管理サービスのアイキューブドシステムズ(4495)は、企業のテレワーク需要を取り込んで成長が見込まれます。
また、各企業で感染リスクを下げるためのIT化投資が進んでおり、IT関連には追い風が吹いています。
企業名 | 4月末の株価 (4月30日終値) |
現在の株価 (6月24日終値) |
上昇率 | 備考 |
---|---|---|---|---|
メドレー (4480) |
2,760円 | 4,150円 | +50.4% | ヘルスケア向けの人材紹介サービスを運営 オンライン診療システムと電子カルテも展開 |
Chatwork (4448) |
1,158円 | 1,790円 | +54.6% | クラウド型のビジネスチャットツールを開発 |
ブイキューブ (3681) |
1,172円 | 1,327円 | +13.2% | Web会議などコミュニケーションサービスを提供 |
サイボウズ (4776) |
2,094円 | 3,460円 | +65.2% | クラウド型の業務管理ソフトを開発 |
参考までに、コロナ禍でも業績に追い風が吹いているIT関連銘柄について、株価の上昇率をまとめてみました。今回は、4月30日の終値と6月24日の終値を比べていますが、いずれの企業も株価が上昇しています。このように、業績が伸びると予想される企業であれば、株価は右肩上がりで上昇していく可能性が高くなります。
一方、飲食業や小売業などは、従来と同じビジネスモデルが難しくなり、多くの企業で業績も株価も低迷気味です。
新型コロナウイルスはまだ終息しておらず、今後もどうなるかは分かりません。上場にも審査があるので、現状IT・ネット関連が今後の見通しが立てやすく、審査に通りやすい状況なのでしょう。2020年6月25日現在では、7月後半以降の新規承認はまだ出ていませんが、新型コロナウイルスが落ち着くまでは、今後もIT・ネット関連に偏ったラインナップとなりそうです。
新型コロナウイルスが流行する前の2019年は、上場企業の業種はバラエティに富んだラインナップでした。人材関連のスポーツフィールド(7080)や医薬品関連のWDBココ(7079)、AI関連のAI inside(4488)、酒類の卸売事業を展開するカクヤス(7686)のように、注目のAI関連から卸売業まで幅広く上場していたのです。
しかし、先ほど説明した通り、コロナショック後は上場企業の業種に偏りが見られます。つまり、IT・ネット関連以外の企業は上場しにくい状況が続いているので、全体で見ると、上場件数は例年より少なくなるでしょう。これが二つ目の変化「上場件数の減少」です。
最後の三つ目の変化は、一つ目と二つ目が合わさると「初値の上昇しやすい」状況になります。
上場件数が少ないということは、1つの銘柄に資金が集中しやすく、人気化テーマのIT・ネット関連銘柄多いので、しっかり買いが集まるでしょう。さらに、 株式市場の回復傾向が追い風となり、初値の高騰率が上がりそうです。
今後の見通しをまとめると、以下の3点となります。
上場件数は例年よりも少なくなりますが、その分初値の上昇が期待できる銘柄が多くなりそうです。今後のIPOに注目したいですね。
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