2020年9月は上場件数が少ない?9月のIPOを独自予想!

最終更新日:
2020年8月13日

 例年、9月は10件前後IPOがあります。だいたい上場日の1か月前には承認されているので、7月下旬から9月の案件が出てきます。しかし、今年はまだゼロ件です。(8月12日時点)
 このままでは、今年の9月は中旬までIPOが無く、かなり件数が少なくなりそうです。

2020年のIPO傾向

 2020年はコロナショックの影響から、上場件数が大幅に減っています。例年20社近くが上場する3月は、約9割の企業が上場中止を発表しました。

 また、新規承認が出はじめた6月は、通常時であれば10件ほど上場する月です。しかし、今年は6件と半減してしまいました。さらに、6~7月に上場した企業の特徴を洗い出すと、半分がコロナショック時に上場を断念し、再挑戦した企業となっています。つまり、再挑戦の企業を除くとさらに半減しているのです。これは、新規承認が出る前に上場を取り下げた企業が多く、新型コロナウイルスの影響による業績悪化などで、上場の準備が整っていないのではないか、と考えられます。

 コロナショック時に上場中止した企業は、ある程度準備が進んでいたため、再挑戦がしやすかったと考えると、残りの企業が直近で再挑戦する可能性は高そうです。
 コロナショック時に上場中止となった企業を見ていきましょう。

コロナショックで上場中止となった企業一覧

企業名 上場
期待度
事業内容
ヤマイチ
エステート

(2984)
△ 不動産の開発、売買、賃貸、管理および仲介業
SANEI
(6230)
△ 給排水器具などの製造販売
さくらさくプラス
(7097)
△ 認可保育所を中心とした保育所などの運営
スマート・
ソリューション・
テクノロジー

(6598)
◎ 企業向け非接触ICカードリーダ端末の販売、
当該端末と連携した店舗向け020(Online to Offline)サービスの提供、独自音通信技術のライセンスおよび認証サービスの提供
アールプランナー
(2983)
△ 注文住宅の請負事業などの注文住宅事業、分譲住宅販売などの不動産事業
サイバートラスト
(4498)
◎ トラストサービス事業(認証・セキュリティサービス、OSSサービス、IoTサービス)
ステムセル研究所
(7096)
○ 再生医療を目的に、さい帯血の分離・保管をおこなう『細胞バンク事業』
バリオセキュア
(4494)
◎ ネットワークセキュリティ機器と独自監視システムによる運用、監視、サポートサービスの提供。
ネットワークセキュリティ機器販売、ならびにネットワーク機器の調達、構築によるインテグレーションサービスの提供
ウイングアーク1st
(4432)
○ 企業の情報活用を促進するソフトウェアおよびクラウドサービスの提供
ペルセウス
プロテオミクス

(4882)
○ 医薬品などの研究開発、製造、販売
Fast Fitness Japan
(7092)
△ 24時間型フィットネスクラブ“エニタイムフィットネス”の日本におけるマスターフランチャイジーとしてフランチャイズシステムを運営

 「上場期待度」に◎を付けた3社は、再挑戦が期待できる企業です。

 コロナ禍のテレワーク需要をうまく取り込めそうなセキュリティサービスのサイバートラスト(4498)ネットワーク・セキュリティバリオセキュア(4494)感染予防の観点から非接触端末の需要が拡大していると考えられるスマート・ソリューション・テクノロジー(6598)などは、コロナ禍でも業績が伸びている可能性があります。そのため、さらなる成長を目指して上場するかもしれません。

 では、このような銘柄が上場するかもしれない9月以降のIPO市場は、どのような状態になっているのでしょうか?8月時点の日経平均株価の動きや、直近のIPO銘柄の株価動向から予想してみましょう。

日経平均株価と直近IPO銘柄の株価動向

 まずは、日経平均株価を確認しましょう。下のチャートを見るとわかるように、直近1か月間の株価は22,500円付近で横ばいです。ここ3日ほどは上昇していますが、一時22,000円割れもあり、全体的には軟調な1か月でした。

<日経平均株価の推移(直近1か月間)>

日経平均株価の推移

<出典:SBI証券

 4~6月期の決算発表が終わったものの、新型コロナウイルスの影響などで業績が悪化した企業も多く、買い材料が乏しい状況でした。その間に上場した企業は7社ありましたが、初値が公募価格の3倍になったアイキューブドシステムズ(4495)をはじめ、7社とも初値が高騰しています。主力株の材料不足により、IPOに資金が流入したと思われます。

 この間に上場した企業だけでなく、直近IPO銘柄にも資金が集まっているようです。6月以降に上場した銘柄の株価を個別に見てみると、画像認識関連や通信販売関連などコロナ禍でも業績が伸びる銘柄を中心に株価が上昇していました。

 例を挙げると、画像認識ソフトウェアのフィーチャ(4052)、実演販売のノウハウを生かして通信販売でも活躍するコパ・コーポレーション(7689)、新規事業開発支援のSun Asterisk(4053)です。

<フィーチャ(4052)の株価推移(直近1か月間)>

フィーチャ(4052)の株価推移

<出典:SBI証券

<コパ・コーポレーション(7689)の株価推移(直近1か月間)>

コパ・コーポレーション(7689)の株価推移

<出典:SBI証券

<Sun Asterisk(4053)の株価推移(直近1か月間)>

Sun Asterisk(4053)の株価推移

<出典:SBI証券

 初値もセカンダリーも好調ということは、IPO市場に多くの資金が流入している証拠です。7~9月期の決算が一巡するまでは、この状況が続きそうです。決算の内容次第では、さらに続くかもしれません。

 ここまでに紹介した銘柄は株価が上がっているIPO銘柄ですが、もちろん株価が下がっているIPO銘柄もあります。IPO直後に株価が低迷している場合、投資チャンスになる可能性があります。上場直後の利益確定で一時的に株価が下がっているだけで、株主が入れ替わって上昇に転じるケースが多くあるからです。企業の業績や事業内容をしっかり見極めて、中長期で腰を据えて投資できる銘柄を探してみましょう!

9月以降のIPO動向

 それでは、9月以降のIPOについて考えてみましょう。冒頭で説明したとおり、9月の上場銘柄はまだゼロ件です。お盆明けに発表があるかもしれませんが、上場銘柄数は例年よりも少ないのはほぼ確実でしょう。

 逆に言えば、1つの銘柄に対して投資家の資金が集まりやすい状況です。つまり、初値の高騰が期待できます。
 さらに、投資先として直近IPO銘柄が注目されているので、上場後も株価が高騰する可能性があります。

 初値でもセカンダリーでもチャンスになりやすいので、今後発表される新規承認は要注目です!そして優良銘柄には積極的に申し込んでいきたいですね。

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