今年はやや控えめ?2022年12月のIPOラッシュ分析!

最終更新日:
2022年12月28日

 明日12月13日から、いよいよ2022年最後のIPOラッシュがはじまります!

 昨年2021年は12月に一気に33社が上場する超過密スケジュールでした。それと比べると、今年は25社とやや少なめの上場数となっています。とはいえ、2020年、2019年と同程度なので、減ったというよりは例年並みの水準に戻ったと言うべきでしょう。

 2022年のIPOはウクライナ情勢や急激な円安を受け、上場数も勝率も厳しい状態が続きました。しかし6月のANYCOLORがターニングポイントとなり徐々に上向きはじめ、この年末にかけて一気に勝率が改善しています。
 直近ではウェルプレイド・ライゼストが一撃50万円超えをたたき出し、公募割れかと思われたサイフューズが公募割れを回避しています。年末に向けてIPO市場は良い雰囲気に仕上がってきました。今年前半の不調を吹き飛ばす快進撃に期待したいですね!

 今回は12月IPOの攻略法と注目IPOをピックアップして紹介します。

12月IPOの攻略法

 去年よりは少ないとはいえ、1日平均2社ペースで上場する過密スケジュールです。例年のラッシュ時を参考に攻略法を3つ紹介します。

①公開株数が多い銘柄を避ける

 これは年末に限った話ではありませんが、公開株数が多い銘柄は初値が上がりにくい傾向にあります。同日上場が多くなると買いの分散により、さらに初値が上がりにくくなるので、公募割れのリスクも高まります。

参考)公開株数の"多い"過去のIPOを分析しました!

 例外として「公募価格が低い(吸収金額が低い)」、「業績が良い」、「今後の成長に期待できる」銘柄は公募割れリスクが少し減ります。とはいえ高騰は難しいため、資金を他の銘柄に回した方が効率が良いでしょう。

②再上場、赤字上場に注意

 2つ目も年末に限った話ではありませんが、再上場案件は公募割れのリスクがぐっと上がります。すでに一度上場廃止になっている状況では、大型IPOになりやすく、公開価格も割高になりやすいからです。さらに今後の成長性も期待しにくく、積極的な買いは難しいでしょう。

参考)過去の再上場案件の結果をまとめました!

 さらに赤字上場のIPOも注意が必要です。赤字の内容にもよりますが、やはり過去の事例を見ても赤字上場は厳しい結果になりやすいです。逆に前期が赤字でも、直近の決算で黒字化している場合は問題ないケースもあります。

③注目IPOに全力集中

 年末ラッシュと言えども、初値高騰が期待できる銘柄の条件は平常時と同じです。

 ・公開株数が少ない
 ・今後の成長に期待できる
 ・公募価格が割安

 これらの条件を満たすIPOがあったら全力集中しましょう!

 またラッシュ時には抽選日も複数重なるので、思わぬアクシデントが起こりやすくなります。
 たとえば他の銘柄で当選(補欠当選)し資金拘束された結果、目的の銘柄が資金不足で抽選対象外、または申込株数が減ることもあります。ギリギリの資金で複数銘柄に申し込むと起きやすいので注意しましょう。

 確実に抽選を受けるためにも、本命IPOに全力集中するのは有効な手です。

 では、注目IPOを見ていきましょう!

12月の注目IPO一覧

 2022年12月のIPOから注目銘柄をピックアップしました!

表は左右にスライドしてご確認ください
企業名 総合
評価
市場 上場日 当たり本数 想定価格 仮条件 公募価格 狙い目証券
property
technologies

(5527)
C 東証
グロース
12/13 8,567本 2,920円 2,890円
~2,950円
2,950円 SBI
楽天
松井
マネックス
ネオトレード
INFORICH
(9338)
B 東証
グロース
12/20 645本
少ない
4,400円 4,400円
~4,600円
4,600円 大和
SBI
楽天
CONNECT
岡三オンライン
note
(5243)
C 東証
グロース
12/21 14,711本 300円
低価格
300円
~340円
340円 大和
野村
SBI
楽天
SMBC日興
岩井
松井
マネックス
CONNECT
カブコム
アイズ
(5242)
B 東証
グロース
12/21 4,370本 2,020円 2,020円
~2,200円
2,200円 SBI
松井
マネックス
岩井
ネオトレード
スマサポ
(9342)
C 東証
グロース
12/29 3,335本 760円
低価格
720円
~800円
800円 大和
SBI
松井
マネックス
楽天
岡三オンライン
CONNECT
企業名 総合
評価
市場 上場日 当たり本数 想定価格 仮条件 公募価格 狙い目証券

 まず、年末ラッシュのトップバッターproperty technologiesです。取り立てて良い条件ではありませんが、今年の年末ラッシュを占う意味でも結果に注目したいですね。

 続いてINFORICHですが、これだけ極端に公開株数が少ないIPOは珍しいです。しかも公開価格が4,000円を超える値がさ株なので、上がっても下がっても値幅が大きく、今年No.1の難しいIPOです。2020年のIPO市場であればプラチナチケットと言える銘柄でしたが、現在の市場で赤字上場となるとどちらに転ぶか読めません。公開株数が少ないので、買いが集まればあっという間に高騰するでしょう。その場合、公募価格の2倍で既存株主へのロックアップが解除されるので、そこまでは問題なく上がりそうです。下がる場合は、オーバーアロットメントによる売出も少ないため、どこまで誠意買いで支えられるかがキーになりそうです。

 noteはご存じの方も多いかと思いますが、メディアプラットフォーム『note』を運営しています。知名度では26社の中で上位に入るでしょう。公開株数は1万株を超えているので少なくはないのですが、公開価格が低いので想定時価総額44.5億円、吸収金額4.4億円と小型IPOとなっています。知名度と低位株による買いの入りやすさもあり、ある程度まとまった買いが入りそうです。ただし、こちらも赤字上場なので過度な期待は禁物です。

 アイズは今回ピックアップした中ではまずまずの条件が揃っています。少なめの公開株数と解除条件のないロックアップで、需給のバランスは申し分ありません。業績も順調に伸びているので今後の成長にも期待できそうです。当日の市場の状況にもよりますが、高騰が期待できそうなIPOです。

 最後のスマサポは、規模こそ小さいものの、突き抜けた好条件ではありません。若干弱めな仮条件も気になります。しかし過去のデータを見ると、その年最後のIPOは比較的初値が上がりやすい傾向があります。最後のご祝儀買いが入るのか、2022年はどんな締めくくりになるのか、色々な意味で注目しています。

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