トップページ > コラム > 今後のIEOはどうなる?【フィナンシェ】【スケブ】【アイドル創造】
2021年のIEO第1弾パレットトークン(PLT)、2022年5月の第2弾FCRコインに続き、複数のIEOが準備中となっています。第3弾以降のIEOはどんな暗号資産が出てくるのでしょうか。
まず1つ目は、コインチェックとフィナンシェによるフィナンシェトークンです。2022年の夏との報道だったので、順調に進んでいればそろそろ続報がありそうです。
2つ目はZaifを運営する株式会社カイカエクスチェンジと株式会社スケブベンチャーズによるSkeb Coin(スケブコイン)で2022年9月頃に発行予定です。
そして3つ目は「新しいアイドルグループの創造を目的としたIEO」です。株式会社オーバース、株式会社coinbook、株式会社DMM Bitcoinの3社によるIEOで、2023年に実施予定です。
現時点で判明している3つのIEOについて、今わかっている情報を元に分かりやすく解説していきます!
かんたんに説明すると、IEOとは暗号資産(仮想通貨)を使った資金調達のことです。IPOでは株式を発行・売出して資金を調達しますが、IEOでは株式の代わりに暗号資産を発行して資金を調達します。
詳細は下記コラムで解説していますので、参考にしてください。
【コラム】国内初のIEO上場、「パレットトークン(PLT)」が上場日に10倍以上の価格に!
では、準備中の3つのIEOについて、それぞれ簡単ではありますが解説していきます。
「FiNANCiE(フィナンシェ)」はブロックチェーンを活用したクラウドファンディングを提供しています。スポーツチームやクリエイターが「オーナー」、そのオーナーを支援するファンが「サポーター」と呼ばれます。
オーナーはトークンを発行・販売することで資金を獲得します。そのオーナーと購入したサポーターでコミュニティを形成し、共に行動する事ができる!というのが売りです。
<FiNANCiE(フィナンシェ)公式サイトより>
今回発行されるフィナンシェトークンは、「FiNANCiE」上でのプラットフォームトークンとして活用されるようです。Coincheckとしては第二弾のIEOとなります。
「Skeb(スケブ)」は好きなクリエイターに有償で作品制作を依頼できるサービスです。イラスト、ボイス、ミュージックなど、さまざまなコンテンツを依頼できます。登録ユーザーは2021年2月時点で140万人を超え、クリエイターの新たな活動の場として注目を集めています。
<Skeb(スケブ)公式サイトより>
2021年、大手クレジット会社から複数の出版社に対し「表題に特定のワードを含む商品ではクレジット決済が取り扱えなくなる」という通知が届いたとの報道がありました。この件を受けて、表現の自由を守るため新たな決済手段としてSkeb Coinの発行を決めたようです。
発行したSkeb CoinはSkebでの決済に利用できます。Skeb Coinの導入と同時にビットコインなど他の暗号資産での決済や、銀行振込、コンビニ払いなども対応予定です。クレジットカードに頼らない決済手段を増やしていく方針ですね。
Skebのサービス+ブロックチェーン技術となると、NFT(非代替性トークン)が気になるところですが、Skeb自体は資金調達と決済手段を増やすことが目的で、NFT事業は関与しないと発表しています。
まだ名前は発表されていませんが、IEOの目的として「新しいアイドルグループの創造」を掲げています。主体となっている株式会社オーバースが「エンターテインメントとブロックチェーン・メタバースの融合」を掲げており、今回のIEOはそれを体現していると言えますね。
<オーバース公式サイトより>
IEOによって調達した資金をもとに、アイドルグループのメンバー募集から選考、育成まで一貫して行うプロジェクトを進めるようです。このアイドルグループは「ブロックチェーン技術とメタバースを利用した活動領域の拡大」をミッションとしています。ブロックチェーン技術をデジタルグッズに活用し、さらにメタバースを利用して現実世界では出来ないアイドル活動を展開する予定です。
過去の上場した第1弾パレットトークン(PLT)、第2弾FCRトークンの値動きを見てみましょう。
公開日 | IEO価格 | 初値 | 最高値 | 2022年7月※ の価格 | |
---|---|---|---|---|---|
PLT (パレットトークン) |
2021年 7月29日 |
4.0円 | 6.0750円 | 94.800円 | 24.998円 |
FCR (FCRコイン) |
2022年 5月18日 |
2.2円 | 1.998円 | 2.639円 | 0.553円 |
※2022年7月8日0時時点
※2022年7月8日0時時点
PLTはコラムでもお伝えした通り、初値の時点でIEO価格を上回っています。その後価格が上昇を続け、最高値は23.7倍にもなりました。 一方で、FCRはIEO価格を下回る価格でのスタートでした。その後いったんIEO価格を上回りますが、直後に大量の売りにより急落しています。公開直前に売買制限がかけられていることが発覚するなど、バタバタしていた印象があります。
PLTとFCRの上場タイミングとビットコインのチャートを重ねてみると状況が良く分かります。
<チャート:Coincheck(コインチェック)公式サイトより引用>
ビットコインは代表的な暗号資産なので、暗号資産全体の動きと連動しやすくなります。IEO第一弾のPLTは2021年7月です。この時は一時下落からのリバウンドの最中で、最高値の777万円に向かって上昇トレンド真っ只中でした。暗号資産全体に勢いがありました。
一方でIEO第二弾のFCRは2022年5月です。ウクライナ情勢などで市場不安が発生し、ビットコインの価格が大きく下がりはじめたところでのIEOでした。その後300万円を割るまで下降を続けています。
もちろんこれだけが原因ではありませんが、やはり上場時の市場環境は大きく関係してきます。ずっと下降トレンドが続いてる現在の状況は最悪と言っても良いでしょう。直近でIEOを予定しているフィナンシェトークンは厳しい状況下での公開になりそうです。
ただし、この後大きくリバウンドすれば話は別です。2021年のような勢いが戻ってくれば、IEOも賑わいを取り戻すかもしれません。
国内のIEOはまだ2例と数が少ないので、情報が少なく判断材料があまりありません。ただ、暗号資産であっても需要と供給で価格が決まるので、その点について考えてみます。
先ほど説明に使ったチャートはビットコインですが、ビットコインを含む暗号資産全体が下降トレンドに入っています。この状況のままであれば、高騰は期待できないでしょう。
IPOでも市場が悪い時は買いが弱くなります。逆風の中、まだ未知数の暗号資産を買う人がどれだけいるのか、となると少し心配ですね。
コインチェックは「国内初のIEO」という実績がありますが、他の2つはこれが初のIEOになります。取引所の経験値が足りない、というのも不安材料になります。
もちろん大きく値上がりする可能性はありますが、やはりリスクが目についてしまうので、残念ですが3つとも見送ることになりそうです。
IEOは取引所が間に入るため他の暗号資産よりはマシですが、やはり実体がないものに投資しているのに変わりはありません。ウクライナ情勢からはじまった世界的なインフレや市場不安を受けて、暗号資産の脆さが浮き彫りになってきました。
IPOでもその市場が不安定な時は公募割れリスクが高まります。暗号資産やIEOの仕組みは歴史が浅いので、統一されたルールや投資家保護という点はまだ固まっていません。そのため、大きなリスクを許容して挑むことになります。
パレットトークンが好調だったため、その後もIEOをチェックしてきました。しかし、FRCの結果と暗号資産市場の状況から判断すると、しばらくは厳しい状況が続きそうです。もし大きな話題となるIEOが出てきたらピックアップするかもしれませんが、いったん今回のコラムでIEOを追うのは終わりにします。