トップページ > コラム > 未公開株詐欺とは?一般人でも買える未公開株はあるの?
「未公開株が買えるんですが、どうですか?」と持ちかけられたら、気をつけてください。詐欺かもしれません。さらに「近々上場予定で、今買っておけば間違いなくもうかります」とつけ足されたら、詐欺の可能性がぐんと上がります。
IPOでの勝率を見ていると、とてもおいしい話に思えるかもしれませんが、実際に未公開株を買うのは大変です。一般的な投資家が未公開株式に投資する方法はゼロではありません。しかし未公開株投資はリスクが高く、IPO株投資とはまったくの別物であることを知っておいてください。
このコラムでは、未公開株詐欺をはじめとした投資詐欺への注意喚起を中心に解説します。
「未公開株を買わないか」と持ちかけられ、入金しても未公開株は手に入らず、代金をだまし取られる詐欺です。
金融庁のトラブル相談例には以下のような事例が掲載されています。
- 業者から上場間近で大儲けが出来ると言われ、未公開株を購入。業者からは株券の代わりに「預り証」を渡されたが、株券は手元に届かなかった。不審に思い発行会社に確認したら上場予定は全くないと言われた。
- 業者から未公開株を買わないかと話を持ちかけられ買付代金を渡した。その後、何の連絡もないので業者に電話をしてみるとつながらなくなっていた。
- 業者から今年の秋に上場すると未公開株を勧められ購入した。株券の名義書換えを要求したところ「待って欲しい」として引き延ばされるだけで一向に名義書換えに応じてもらえず、不審に思い、発行会社に問い合わせたら「上場の予定はない」、「当社の株式は譲渡制限がついているので名義の書換えは出来ない」と言われた。
ここで言う「発行会社」はその投資先の会社です。3事例とも、「業者」から持ちかけられてお金を渡しているのが共通しています。
未公開株は、その発行会社か登録を受けた証券会社のどちらかしか売買できません。そのうち証券会社は日本証券業協会の自主ルールで未公開株の勧誘を禁止しているため、発行会社以外から話を持ち掛けられた時点でほぼ詐欺です。
さらに、実際に割当や譲渡を受ける場合でも契約書による合意が必要です。先に代金だけ請求されることはほぼありません。
「第三者から持ちかけられた」、「契約の前に代金を要求された」など、少しでも変だと感じたら発行会社に確認しましょう。
発行会社以外から持ちかけられる未公開株投資は、「ほぼ詐欺」ということを説明しました。では一般人は未公開株を買えないのでしょうか?
プロ投資家じゃなくても未公開株に投資する方法はあります。ここでは3パターン紹介します。
投資とは少し離れますが、ベンチャー企業などがストックオプション※を社員に付与することがあります。権利を行使すれば株が手に入るので、実質未公開株を入手している状態です。
優秀な人材の確保や社員のモチベーションアップなど、企業としても実施するメリットがあります。スタートアップ企業に早い段階から加わっておくと、未公開株を入手できるかもしれません。
※ストックオプションとは
自社の株を購入できる権利。価格(権利行使価額)、期間、株数はあらかじめ決められている。
起業間もない企業に出資する投資家を「エンジェル投資家」と呼びます。起業家とエンジェル投資家をつなぐマッチングサービスも複数あり、未公開株に投資する方法としてメジャーになってきています。
おそらく、みなさんが想像する姿はこちらが近いのではないでしょうか。
注意点としては、スタートアップへの投資なのでその後の成長は不透明です。将来上場できるかわかりません。投資した額と実際の価値がマイナス方向に大きく乖離することもあります。そもそも投資額が回収できなくなる事態もあります。
「起業前・直後の苦しい状態に投資をする」からエンジェル投資家なのであって、上場直前やIPO抽選で手に入るようなおいしい状態の株が手に入るわけではありません。
最後に紹介する手段は「投資信託で投資する」です。
ひふみ投信の「ひふみクロスオーバーpro」など、上場企業に加えて未上場企業にも投資するファンドがいくつかあります。
ファンド名 | 運用会社 | 投資先(上場済) | 投資先(未上場) | 信託報酬 |
---|---|---|---|---|
ひふみクロスオーバーpro | レオスキャピタルワークス | 成長が期待できる 国内外上場株式 |
成長が期待できる 国内外未上場株式 |
1.65% |
fundnoteIPO クロスオーバーファンド |
fundnote | 上場後5年以内の 中小型株 |
未上場株式のうち 2年以内に上場予定 |
1.98% +成功報酬 |
野村日本新鋭成長株ファンド | 野村アセットマネジメント | 国内上場株式 (上場予定を含む) |
投資事業有限責任組合等(LPS) の出資対象事業持分等 |
最大年2.178%程度 +成功報酬 |
野村マッコーリー・ プライベート・インフラ・ファンド |
野村アセットマネジメント | 世界の非上場 インフラ企業の株式 |
年2.68%程度 +成功報酬 |
先ほど、未公開株はリスクが大きいと書きましたが、こちらの商品はそのデメリットを解消できます。投資信託でさまざまな未公開株式に投資することで自動的にリスク分散していることになります。
いずれも投資信託の中では信託報酬が高めで、成功報酬が設定されていることが多いのが特徴です。その中で、「ひふみクロスオーバーpro」は信託報酬がかなり抑えられている上に、成功報酬もありません。コストを抑えて未公開株投資をはじめるなら、ひふみクロスオーバーproからはじめてみてはどうでしょうか。
ここまで未公開株詐欺について触れてきましたが、その他にもさまざまな投資詐欺があります。代表的なものをかんたんに紹介していきますので、これらにも注意しましょう。
インターネットでタレントや有名投資家の名前・写真を無断使用した嘘の広告を出したり、返信(リプライ)やダイレクトメッセージで、SNS(LINEなど)に誘導するところからはじまります。投資に関する情報や、第三者のサクラを利用して信用させ、金銭を振り込ませる詐欺です。
警察庁の資料では、被害時の連絡ツールは9割以上がLINEというデータがあります。FacebookやXからLINEに誘導されるようであれば詐欺の可能性があるので注意してください。
※当サイト管理人ひっきー(竹内弘樹)は、LINEで投資情報を発信していません。
主宰するLINEグループ・SNSコミュニティはありません。竹内弘樹の名で募集するLINEグループはすべてなりすましです。詐欺に発展する可能性があるのでご注意下さい。
メールやSMSなどで偽のWebサイトに誘導し、ログインIDやパスワードを抜き取る詐欺です。メールの場合、差出人のメールアドレスは偽装可能なので信用してはいけません。
掲載されているリンクも不用意に踏んではいけません。URLが証券会社のドメインと違う場合はフィッシングメールです。
証券会社 | ドメイン | ログインURL |
---|---|---|
SBI証券 | sbisec.co.jp | https://www.sbisec.co.jp/ETGate/ |
楽天証券 | rakuten-sec.co.jp | https://www.rakuten-sec.co.jp/ITS/V_ACT_Login.html |
松井証券 | matsui.co.jp | https://www.matsui.co.jp/login/ |
マネックス証券 | monex.co.jp | https://mst.monex.co.jp/pc/ITS/login/LoginIDPassword.jsp |
SMBC日興証券 | smbcnikko.co.jp | https://trade.smbcnikko.co.jp/Etc/1/webtoppage/ |
「取引が停止されます」や「セキュリティ確認してください」などの文面で脅し、リンクからのログインを促すケースが多く見られます。二段階認証を設定し、ログイン許可端末を限定することである程度アカウントの乗っ取りは防げますが、ログインIDとパスワードの流出は防げません。
ブックマークや検索結果以外から遷移した画面で、ログインID・パスワードを入力しないようにしてください。
私募債は、会社が特定少数の投資家に対して発行する社債であり、未上場の企業が資金調達する際に利用されます。性質としては未公開株に近いとも言えますが、債権者(私募債)となるので、株主(未公開株)とは立場が異なります。
立場は異なりますが、詐欺として利用される場合はよく似ています。
金融庁の相談事例でも私募債に関する相談が載っていました。高金利で釣り、さらに複数の業者で信じ込ませようとしているのがわかります。
- ある会社から、突然メール便が届き、転換社債の購入を勧められている。3年満期で年利12%で毎月利払いを受けられるという。その後タイミングよく契約の仲介をしているという別の会社から電話があり、取引所に上場が決定している良い会社である等の説明を受けた。信用できるでしょうか。
私募債は発行会社か登録を受けた金融商品取引業者のどちらかしか勧誘できません。SNSやメール、電話などで私募債への投資を勧誘された場合は、発行会社に確認しましょう。どちらにせよ素性がわからないまま投資するのは危険ですので、私募債は発行会社の情報を良く確認してから投資判断をしましょう。
もし「金融詐欺にあったかもしれない」と思ったら公的機関へ相談しましょう。
問合せ先 | 電話番号 | 運営 | 備考 |
---|---|---|---|
金融サービス利用者相談室 | 0570-016811 |
金融庁 | IP電話からは03-5251-6811 |
警察相談ダイヤル | #9110 | 警察庁 | 最寄りの警察署でも可 |
消費者ホットライン | 188 | 消費者庁 | 身近な消費生活センターや消費生活相談窓口を案内 |
まずは詐欺にあわないことが重要ですが、もし被害にあった場合は一刻も早く各窓口に相談してください。
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