トップページ > コラム > 【新NISAの戦略】成長投資枠の売却による復活・再利用でIPO株投資
NISA(ニーサ:少額投資非課税制度)は、投資をする上で絶対に知っておきたい制度です。制限はありますが、税制面での優遇が強力で、「やらないと損!」というレベルのお得な制度です。
NISAは2014年からはじまっていますが、2024年から新しいNISA(ニーサ)が導入されました。さまざまな変更で、さらに強力になっています。
このコラムでは、新NISAのしくみから新NISAをフル活用する戦略まで紹介します!
まず、NISAについてかんたんに説明します。NISAは少額投資非課税制度のことで、2014年からはじまりました。その後2018年につみたてNISAが新設され、さらに2024年から新しいNISAがスタートしました。
■NISA(少額投資非課税制度)とは
少額投資非課税制度は文字の通り、少額の投資が非課税になる制度です。年間投資枠、非課税保有期間など決められた範囲での売却益や配当金が非課税になります。
課税口座での取引では、売却益や配当金に対して所得税15%と住民税5%、さらに2037年12月末までは復興特別所得税0.315%が追加され、20.315%の税金がかかります。
例えば、売却益が10万円出たとしても、税金で2万円以上引かれてしまいます。NISA口座ではこれが非課税になるので、単純に手取り金額が増えます。
では新NISAと過去のNISAの違いを見ていきましょう。
<新NISAの概要>
<引用:金融庁>
<過去のNISAの概要>
<引用:金融庁>
つづいて、新NISAの注目ポイントを個別にまとめました。
過去のNISAでは、「一般NISA」か「つみたてNISA」のどちらか片方しか選べませんでしたが、新NISAでは、「成長投資枠」と「つみたて投資枠」が併用できます。それぞれ年間投資枠が別に設定されています。
過去のNISAでは、年間投資枠が、つみたてNISAは40万円、一般NISAは120万円でしたが、新NISAでは、つみたて投資枠120万円、成長投資枠240万円と大幅に引き上げられました。
過去のNISAでは、非課税保有が有限でロールオーバーなどで対応していましたが、新NISAでは、無期限化しました。
過去のNISAでは、非課税保有限度額が、つみたてNISAは800万円、一般NISAは600万円でしたが、新NISAでは、1,800万円(うち成長投資枠は1,200万円まで)へと引き上げられました。
さらに、非課税保有限度額は、簿価残高方式で管理され、枠の再利用が可能です。詳細は「売却による非課税投資枠の復活・再利用」で解説します。
過去のNISAで購入した株式や投資信託は新NISAへロールオーバーできません。過去のNISAの非課税投資枠は、非課税保有期間内は新NISAに関わりなく持ち続けられます。
では、この中から特に重要な項目を2点解説します。
過去のNISAでは、一般NISAとつみたてNISAが別物で、どちらか片方しか選べませんでした。新NISAでは、ひとつのNISAで成長投資枠とつみたて投資枠が設定されており、成長投資枠では個別株も買えます。もちろんIPO株も購入できます。
長期的な運用はつみたて投資枠で投資信託(インデックスファンド)を積み立てて、短・中期的な運用は成長投資枠で個別株や投資信託(アクティブファンド)を購入できるので、さまざまな投資スタイルで活用できるようになりました。
新NISA最大の特徴は、新NISA口座で保有している株式・投資信託を売却すると、翌年に非課税保有限度額の使用分が復活※することです。ただし、その年の年間投資枠は復活しませんので、ご注意ください。年間投資枠は、つみたて投資枠120万円、成長投資枠240万円の上限があり、非課税保有限度額は1,800万円(成長投資枠の非課税保有限度額は1,200万円)と決められています。
■※くわしく解説■
非課税保有限度額は簿価残高方式で管理されているので、購入時の金額で計算されます。100万円で購入した株が値上がりし、150万円で売却した場合、翌年から100万円分の非課税保有限度額が再利用できるようになります。
いよいよ本題に入ります。「成長投資枠でIPO株が買える」、「売却すると非課税保有限度額が復活する」と説明しましたが、これを組み合わせるのが新NISAの戦略です。
まず、新NISA口座はIPO株の当選が狙いやすいネット証券で開設します。そして、IPOに申し込み、当選したら成長投資枠でIPO株を購入して売却します。IPO株投資は基本的にすぐに売却しますので、非課税保有限度額を圧迫することはありません。よって、新NISA口座を利用してどんどんIPO投資にチャレンジしてください!
このように、新NISAのしくみはまさにIPO投資のためにあるのでは!?と思うほど相性が良いです。NISA口座をどの証券会社にするか悩んだ時は、IPOに強い証券会社を選ぶのもひとつの手ですね!
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