トップページ > コラム > 新規上場日の成行注文が禁止に!?初値で売買する方法を解説します
(2023年6月28日追記)
初値の決まり方(板寄せ方式)について追記しました。極端な指値注文でも初値で売れる理由を解説しています。
↓追記部分はこちら
4分の1で指値売りしても大丈夫?
2023年6月26日から、「新規上場日における売買の成行呼値が禁止」されます。成行買も成行売も注文が出せなくなります。
参考)「新規上場日の売買における成行呼値の禁止について」
なぜ禁止されるのかというと、東京証券取引所は以下のように発表しています。
今回の見直しは、日本証券業協会が2022年2月28日に公表した「公開価格の設定プロセスのあり方等に関するワーキング・グループ」報告書における指摘を踏まえ、需給が不安定な状況における株価のボラティリティの過度な増幅を抑えることを目的とするものです。
(引用:東京証券取引所公式サイトより)
つまり「大量の成行注文で初値が大きく動くのを抑制したい」ということです。
今まで「初値で売りたい、初値で買いたい」時は成行注文でよかったのですが、6月26日以降はそれができなくなります。ではどうすれば良いのでしょうか?答えはシンプルに「指値注文する」です。今回の規制と対処法をわかりやくすまとめていきます!
売り注文、買い注文のことだけ知りたい人は、「初値で売りたい・買いたいときの指値注文」へジャンプしてください。
まず6月26日前後の規制内容を表で比較します。黄色背景が変更点です。
上場 | 売り注文 | 買い注文 |
---|---|---|
初日 | 規制なし | 規制なし※1 |
二日目 以降 (初値付かず) |
規制なし | 成行注文× 即金規制※2 |
初値決定 翌日 |
規制なし | 規制なし |
上場 | 売り注文 | 買い注文 |
---|---|---|
初日 | 成行注文× | 成行注文× |
二日目 以降 (初値付かず) |
成行注文× | 成行注文× 即金規制※2 |
初値決定 翌日 |
規制なし | 規制なし |
※1 証券会社によっては成行注文を受け付けていない場合があります
※2 「買付代金(現金)の即日徴収」です、買付余力に現金残高が必要です
初値が決定するまで成行注文ができなくなります。初値が決定した翌営業日からは成行注文が可能になります。
「指値注文はいくらで指定して良いか分からない」と感じている人もいるかと思います。そこで初値で売買したいときの指値の出し方を説明します。シンプルに「初値より安い価格で売り注文を出す」、「初値より高い価格で買い注文を出す」と初値で売買できます。
初日の最初の気配値は公募価格なので、わかりやすく公募価格を基準に考えます。
初値で売りたいときは「公募価格の4分の1」で指値売り注文を出しましょう。正確に4分の1である必要はありません。4分の1~2分の1あたりの価格で指値注文を出しましょう。
例)公募価格1,000円の場合
250円で売り指値注文
初値で買いたいときは「公募価格の4倍」で指値買い注文を出しましょう。こちらも正確に4倍である必要はありません。3倍~4倍あたりの価格で指値注文を出しましょう。
例)公募価格1,000円の場合
4,000円で買い指値注文
実際に4分の1や4倍で売買されることはありません。取引成立する時は初値で約定します。
上場初日に初値が付かず翌営業日に持ち越された場合は、前日の最終気配値が翌日の板中心値段(基準値)になります。9時前に板中心に表示されている価格で4倍、4分の1の計算をしてください。三日目も同様です。
新規上場日にはいくつか上限、下限が事前に発表されます。そのうち「注文受付価格の範囲」は下限が公募価格の4分の1、上限が公募価格の4倍で算出されているのです。この範囲内でしか注文を受けないので4分の1が最低価格、4倍が最高価格になります。
さらに、「気配更新」では上限方向が公募価格の2.3倍、下限方向が公募価格の4分の3と決められています。そこからさらに通常更新値幅分上下するので、実際の幅はもう少し広くなります。そのため、買い指値は3倍~4倍で初値より高く、売り指値は4分の1~2分の1あたりで初値より安くなります。
先ほども書きましたが、初値より下の値段で指値売注文を出していた場合は、初値で約定(=売却)します。買い注文はその逆で、初値より上の値段で指値買注文していた場合、初値で約定(=買付)します。感覚的には今までの成行注文とほぼ同じです。
「何円でもいいから売りたい(成行売)」が「受付価格の下限以上なら何円でもいいから売りたい(下限で指値売)」に変わっただけです。結果的に初値で約定するのは同じです。
まず、初値は板寄せ方式で決まります。以下の3つの条件を満たす時に取引が成立し初値が決まります。
今回の規制で成行注文は無くなったので、条件2と3だけです。累計売り注文数と累計買い注文数のバランスが取れたところで初値が決まります。
上の図は板情報を簡略化したものです。※実際の板情報とは細部が異なります
売累計は価格が高くなるほど増え、買累計は価格が低くなるほど増えます。この図では売累計と買累計が逆転するのは1,500円と1,501円の間です。このどちらかで初値が決まるのですが、まず条件2を満たすのは1,500円です。1,500円より低い売り注文と1,500円より高い買い注文がすべて約定できます。
続いて1,500円の売り注文と買い注文を約定させると売り注文がすべて約定するので条件3を満たしています。そのため1,500円で取引が成立しますが、1,500円より低い売り注文と1,500円より高い買い注文もどちらも1,500円として取引が成立します。
もちろん初値が公募割れした場合は売却損が出てしまいますが、そこは今までの成行注文と同じです。
「絶対に公募価格以上で売りたい!」というときは、単純に売りたい価格で指値注文を出してもかまいません。ただしこの場合は初値で売却できるとは限りません。当然ですが、指値した価格よりも低い価格で初値が決まった場合には売却できないので注意しましょう。
今まで成行注文でかんたんに売却できたことを考えると、すこし面倒な変更になりました。今までと同じ感覚で初値売りするには「4分の1」、初値買いするには「4倍」と覚えれば大丈夫です。
もちろん初値にこだわらない場合は好きな価格で指値注文を出して問題ありません。
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